本研究会は、介護現場でのコミュニケーションロボットの活用について、有識者やビジネスパーソンによる講演やワークショップを通じ、ロボットメーカー、介護事業者、サービス提供企業と共に検証する全3回シリーズの第1回目。
 今回のテーマは、「介護レクリエーションへのロボット活用」。介護レクリエーション活動へのロボット導入の可能性について検証をテーマに、様々な専門家の方にご登壇いただきました。

 まずは、基調講演として、奈良県立医科大学 医学部看護学科 老年看護学 准教授の澤見 一枝 氏より「認知症予防に効果のある介護レクリエーション 」についてご講演いただく。
 高齢者を対象に、介護レクリエーションを活用した認知症予防の効果について研究をおこなわれており、具体的に介護レクリエーションが認知症予防にどのような効果があるのか、具体的な事例をふまえご説明いただきました。ご講演の中では、具体的に取組みをおこなう自治体の事例を基に、認知症予防に効果のあるレクの手法についてやロボットの介入の可能性についてお話していただきました。
 講演の途中、脳の活性化につながると考えられている二重課題やNバック課題を実際に体験する時間も設けられ、理論と実践をしながら学ぶことができました。
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 次に介護レクリエーション分野で実際に製品・サービスを提供する企業、団体の取組み事例を発表いただきました。
 プラス株式会社ジョインテックスカンパニー 小池様より、「介護用品・福祉用具通販のスマート介護が考える介護ロボットの取組み」という題目でご講演いただく。プラス株式会社が提供する「スマート介護」は、全国の介護・福祉施設を対象に、ジョインテックスが提携する文具事務用品店と協働して展開する営業サポート付きデリバリーサービスです。新規事業として立ち上げられた経緯や背景、また事業化の際に注力された事をお話しいただきました。
 とにかく現場の課題やニーズを聞くという事をなされたという事、事業化に向け介護分野に精通した人材を育成するなど新規事業の立ち上げにも参考となるお話しをいただきました。また、今後の取組みとして、介護分野への導入をサポートする介護ロボットポータルサイトの構築の概要や狙いについてお話しいただきました。
 今後、販売も含めポータルサイトへの掲載やプロモーションをおこなっていただけるメンバーの募集もあわせておこなわれました。
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 次に、公益社団法人日本ストリートダンススタジオ協会 吉田様より「ダンスを活用した介護予防の取り組み」という題目でご講演いただきました。
 「踊育(だんいく)」をコンセプトに活動しておられる公益社団法人日本ストリートダンススタジオ協会(NSSA)様の取り組みのご紹介から、ロボット導入を含んだ今後の展望までお話しいただきました。介護分野を中心に、今後、コンテンツを充実させていくためのパートナー募集もされておりました。
 小学生~高齢者までを対象にし、幅広い世代へコンテンツを提供しているNSSA様の介護現場への介入には目が離せません。
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 次に、東日本電信電話株式会社(以下、NTT東日本と言う)菅様より「NTT東日本が提供するロボットサービス ロボコネクト」という題目でご講演いただきました。
 NTT東日本では、ロボット型の通信端末(コミュニケーションロボット)向けのクラウド型ロボットプラットフォームサービス「ロボコネクト」を開始しています。「ロボコネクト」を開発した経緯や背景について説明いただきました。年代別のインターネットを活用状況からPCやスマートデバイスを活用しない高齢の方が一定いらっしゃる。この層の方にインターネットを楽しんでいただく為には、コミュニケーションロボットが最適ではないかと思い事業化を検討したとの事です。また、講演の中では、「ロボコネクト」に対応しているコミュニケーションロボット「Sota」の機能紹介やデモなど実施いただきました。今後、販売を拡げていくためのパートナー募集もなされました。
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 本研究会では、講演者の話しを聞くだけではなく、講演者や参加者同士がビジネス化を図っていくこともテーマの一つです。その為、参加者の方の課題やニーズを汲み取り、マッチングやビジネス支援を事務局では積極的におこなっていく予定です。
 次回、第2回は、障がい者スポーツをテーマに、ワークショップ形式の研究会を開催いたします。ぜひビジネスのネタを探しにご参加くださいませ。